ミートゥー運動の意味はさいきん知ったばかりで、特に乗っかるつもりもないのですが、潮流的にふと思い出した話を。


歌人穂村弘さん。大学生のころに知って歌集を読み漁り、程なくして雪舟えまさんを知るきっかけになるのですけど、
そもそもなぜ彼の著作に興味を持ったかというと、たまたま手に取った、フリーペーパーのインタビューで語られていたこんな内容があった。もう10年以上前の話。


“例えば蕎麦屋にカップルがいて、席を立つとき男のほうが「おい行くぞ」って苛立って言うんだけど、女の子の方は「えー待ってぇ」とかなんとかわりと普通に受け流してる。僕は本当だろうか、と思うんだよね。自分に向けられた苛立ちを彼女は受け流したけれども、本当に彼女は傷ついてないんだろうかって。”


このあとに、ボーイズラブの存在意義(この世に恋愛をしても女性が髪の毛一筋ほども傷つかないようなコミュニケーションが成立すれば、あれは消えるんじゃないかな、という話)についても触れていた。これの是非はともかく、これを語る男性がいることに驚いて、私はこの人の著作を読もうと思った、のでした。そんなことは何年も忘れていたけど。
もちろん穂村さんが女性を傷つけないとかいう話では全くなくて、「本当だろうか」の視点があるかどうかという話。
男女関係ないんじゃないかって気もするけど、世の中にありがちなのはやっぱりそっちだよね、って話。


そういえば、奇しくもいま雪舟えまさんはボーイズラブ、、と言って良いのかな。緑と楯の話、実質的に専門の作家になっている。その根源はこれとはまたきっと、違う話なのだと思います。